アイン・ソフ・オウル
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カバラにおいて無(0)を示すものは3つあります。

アイン:無(0)
アイン・ソフ:無限(00,∞)
アイン・ソフ・オウル:無限光(000)

です。これらについてご紹介していきます。

無とは何か

無(アイン,Ain)とは、何も無い状態であり、それゆえに何にでもなれる、全ての可能性を含んでいます。こうした原初の状態は、神、根源、源、創造主、全、などと呼ばれることもあります。

無限(アイン・ソフ,Ain Soph)とは、有限とは逆に、始まりもなければ終わりもない永遠の状態で、そこに生死はありません。

無限光(アイン・ソフ・アウル,Ain Soph Aur)とは、無限の顕現の始まりです。無限を光というイメージを通して現実化させる状態です。宇宙を想像するビッグバンをイメージすると、無限のエネルギー放出がどのようなものか、分かりやすくなります。

無限光が顕現を始めると、カバラの第一セフィラーである「ケテル」を生みます。このセフィラーは3つの無に最も近く、まるで宇宙を冠に抱いているかのようです。

瞑想で得られる無

瞑想はしばしば自分を「無」にするために実践されますが、これは「アイン」「アイン・ソフ」「アイン・ソフ・オウル」に到達するために行われるものとも言えます。

人間(ミクロコスモス)の状態で、宇宙(マクロコスモス)の原初の波動に触れていくことで、瞑想は本来の自分を思い出していくためのツールとなります。

無と空の違い

無について考える時、同時に空(くう)についても頭に浮かびます。

2つの違いは明確で、無は何もないのに対して、空はない状態が有る状態、となります。

一つの箱をイメージしてみると分かりやすくなります。

  • 無:箱が無い状態
  • 空:箱はあるけど中身がない状態

箱が無いか、箱が空っぽか、という違いです。

象徴される伝説の生き物:ウロボロス

ウロボロスは、蛇や龍が自分の尻尾を加えている状態で表されるシンボルです。

象徴の一つですが、便宜上、神話・伝説の生物のカテゴリーでご紹介します。

ウロボロスが意味するもの

尻尾が頭をかんでいる状態は、始まりと終わりが同じ場所にある状態は、始まりと終わりの無い永遠性を表します。

カバラにおいてはアイン・ソフ・オウルと同義で、数字では0です。

また、神社の入り口にいる狛犬は、片一方が始まりの言葉である「あ」の口をしていて、もう一歩は終わりの言葉である「ん」の口をしているため、彼らも2つ合わさると無、永遠性を意味しています。

時間においては過去も未来もないため、常に現在を表します。

輪廻転生とウロボロスの輪

輪廻転生では過去生や未来生を考えますが、ウロボロスの輪と照らし合わせると、スタート地点がないので、どこが現世で、どこが過去生で、どこが来世なのかがわかりません。

解脱とは、輪廻の無限に続くループに気づき、過去や未来に起因する悩みから脱すること、とも考えられます。

この気付きはまるで、地球に果てがあると信じていた価値観が、地球は丸くて果てがないという価値観に変わるかのようです。根本的な価値観の変化を生みます。