veil

コクマー
コクマー
更新: 2023.09/18

コクマーはカバラにおける第二番目のセフィロート(天球)です。

セフェール・イェツィラー(形成の書)においては「光を照らす知性」と言われます。

この記事では「コクマー」とは一体何なのか、ご紹介していきたいと思います。

コクマーとは

英語でchokhmahと綴ることから、「チョクマー」と呼ばれることもあります。

非常に概念的な話になりますが、ケテルの反映として生まれるコクマーは、「無」であった世界に2つ目の点としての役割を持ちます。

ケテルだけの時は点が1つあった状態に対し、コクマーが生まれると点と点が繋がって線となります。

静止していた点が、線を作るようになる動きが生じ、世界の創造を推し進めます。

アインソフの無限のエネルギーはケテルにて「点」として静止・限定されていましたが、コクマーにて初めてエネルギーは「線」という方向性を持ちます。

コクマーに割り当てられる象徴的意味は「知恵」です。

カバラの4つの世界においては「創造・ブリアー」の世界に属し、ケテル・ビナーと共に「至高の三角形」を形作る。

コクマーの特徴

元型的な動的パワー

そのため、コクマーは「原初の動かす力」とされています。ケテルから受け取った無限のエネルギーを発散させるようなイメージです。

この状態から、「元型的な陽」「原初の男性原理」「至高の父」とも言われます。

男性や父が動かす力にとされる理由は、命が生まれる過程を考えるとわかります。

男性が動かす力だとしたら、女性は受け止め形にする力です。

もちろん女性側のセフィラーは第三のセフィラー「ビナー」です。

子供が生まれる時、男性は女性に命を”動かす”力を送ります。原動力と言うと分かりやすいかもしれません。

それを受け取った女性は、その力を受け止め命を形にする力で、子宮に命を宿します。

このため、「男性・父」は「動かす力」で、「女性・母」は「受け止め形にする力」を象徴します。

男性は力を与え、女性は形を与えるため、コクマーのある柱は「慈悲の柱」、ビナーのある柱は「峻厳の柱」と呼ばれます。

男性は常に力を与えますが、それをどのように形にするかは女性が鍵を握っていて、形を破壊する選択権も女性の手中にあります。

形を持つということは、形が壊れることも含まれています。肉体という形を持てば、厳しいですがそれに終りもあるのです。

男性性と女性性をもう一歩わかりやすく

男性生と女性性は、水とカップの関係にも似ています。

男性性は水、女性性はカップです。

男性性に出来るのはどれだけの水を注ぐかということ。

女性性に出来るのは、どのような器でどんな形に水を貯めるかということ。

男性性が水を注がなければ、女性性は水を使って形を作ることが出来ません。

反対に、女性性がカップに穴を開けてしまえば、どれだけ男性性が水を注いでも水は形を持てません。

元型的な動的力の例

コクマーの元型的な動的な力は、様々な例に例えられます。

イザナギが国を生むときのシーンもそうですし、旧約聖書の創世記にて「光あれ」という言葉が発せられるところもコクマーの側面を示しています。

ギリシャ神話では最高位の男性神ゼウスが当てはまります。

何らかの動的な動きを見せる時には、既にコクマーの領域に入っているのです。

しかしコクマーはまだ物質的な状態ではないので、動的で原型的な力ではありますが、物質的な豊かさ(アバンダンス)を示しません。

動きのある力を言い換えると、刺激を与える力とも言い換えられます。

クリエイティブな仕事をするにあたっても、その初めの段階は何らかの原型的な動きや刺激があって、初めて仕事に取り掛かります。

岡本太郎の言った言葉「芸術は爆発だ」とは、まさにコクマーの力を象徴しています。芸術そのものは、本能を司る第七セフィラーのネツァクに属しますが、爆発はコクマーに属します。爆発的なパワーという抽象的な動的意識の状態が、次元を落としてより具体的になることで、芸術という動的表現に収まるのです。

こうした活動の初めにある刺激がコクマーに属します。

雄雌を越えた性

例として男女と子供を挙げましたが、生物学的なオスとメスを越えて、性という極性は働いています。

以下に男性性と女性性を表にしてみました。

男性性 女性性
オス メス
能動的 受動的
動かす・刺激する 受け止め形にする
アイディア 現実化する力

働く力や状態が、男性性側か女性性側にあるかで、生物学的なオス・メスを越えて性が生まれています。

コクマーと対応する様々な概念

コクマーに対応する概念
神の名前 ヤー, イェホヴァ
大天使 ラツィエル
称号 知恵、至高の父、テトラグラマトンのヨッド
惑星 黄道十二宮・恒星
ヘブライ語表記 ChKMH(ケト カフ メフ ヘー)

イェホヴァについて

ヘブライ語でIHVHと綴り、本来はこの語の発音は「イェホヴァ」ではなく、正しい秘密の発音があるとされています。

イェホヴァの意味は、ケテルの神名AHIH(エヘイエ)と似ていて「有る」という意味です。

イェホヴァはコクマーの中に含まれているマルクトまでを意味するとされています。

IHVHの文字は置き換えることが出来るとされていて、またAHIHやIHVHなどの4文字の神の名前は「テトラグラマトン」と呼ばれます。

この文字を置き換えると、黄道十二宮の数と同じ12が浮かび上がってきます。

黄道十二宮(ゾディアック)について

IHVHの組み合わせは以下のようになると言われています。

IHVH IHHV IVHH HVHI
HVIH HHIV VHHI VIHH
VHIH HIHV HIVH HHVI

4*3=12になっています。

テトラグラマトンのヨッドについて

IHVH(ヨッド・ヘー・ヴァウ・ヘー)において、I(ヨッド)は天上の父(コクマー)、二番目のH(へー)は天上の母(ビナー)、V(ヴァウ)はミクロプロソプス(ティファレト)、最後のHは花嫁(マルクト)を示すとされています。

つまりテトラグラマトンのI(ヨッド)とは、コクマーのことを指しています。

ラツィエルについて

名前に神の神秘という意味を持つ。

座天使の長で七大天使の1人。

コクマー以外のセフィラー関連記事