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ゲブラー
ゲブラー
更新: 2023.09/18

ゲブラーはカバラにおける第五番目のセフィロート(天球)です。

この記事では「ゲブラー」とは一体何なのか、ご紹介していきたいと思います。

ゲブラーとは

ゲブラーは第五のセフィラーで、割り当てられる象徴的意味は「峻厳」をよく当てられます。峻厳って聞きなれない言葉なので、意味を辞書に当たってみます。

しゅん げん [0] 【峻▼厳】
( 名 ・形動 ) [文] ナリ
① いかめしくきびしい・こと(さま)。 「 -な態度」 「 -に自己を難詰した彼も/彷徨 潤一郎」
② (山などが)高くけわしいさま。 「 -な山なみ」
引用元:峻厳(しゅんげん)とは – 峻厳の読み方 Weblio辞書

「いかめしきびしい。」”いかめしい”という意味は↓

いかめし・い [4] 【厳▽めしい】
( 形 ) [文] シク いかめ・し

近よりにくい感じを与えるほど立派で威厳がある。 「 - ・い顔つきの将軍」 「 - ・い門がまえ」

厳重である。物々しい。きびしい。 「 - ・い警戒」

激しい。猛烈だ。 「波いと-・しう立ち来て/源氏 須磨」

盛んである。盛大だ。すばらしい。 「内裏・東宮の残らず参り集ひて,-・しき御いそぎの響きなり/源氏 若菜上」

(「いかめしく」の形で副詞的に用い)立派に。よくこそ。 「 - ・しくも尋ね給ふものかな/ささめごと」 〔主に和文で用いられた〕
[派生] -げ ( 形動 ) -さ ( 名 )
引用元:いかめしいとは – いかめしいの読み方 Weblio辞書

つまり、「峻厳」は激しく厳しいということ。並の厳しさではない、ということですね。

なぜそんなに厳しいのか。その特徴を見ていきます。

ゲブラーの特徴

ゲブラーは5番目のセフィラーで、役割は「正義」です。カバラの書籍を書いたガレスナイトはこう言っています。

there is an aspect of Geburah known as ‘The Hall of Justice’
(ゲブラーには正義のホールと知られる側面がある)
*書籍:A Practical Guide to Qabalistic Symbolism

その正義とは何かといえば、神聖な法・宇宙の法を守るための正義です。

カバラの樹を上から炎の剣(Flaming Sword)と呼ばれる順序でジグザグに辿って説明してみます。↓図は『神秘のカバラ―』のものです。

カバラの炎の剣

「0.アインソフ」という絶対的で永遠に存在する無がある
→「1.ケテル」でアインソフのエネルギーを受け取るポイントが生まれる(相対的な世界へ。E=mc^2)
→「2.コクマー」で方向が生まれる
→「3.ビナー」で元型的な形が生まれる
→「4.ケセド」で元型の全容を把握し受け止める
→「5.ゲブラー」でその全容が正しく表現されるように調整する

となってきますので、ゲブラーは”正義”となるのでしょう。

余計なものは捨てないといけませんし、足りないものは要求する必要があります。

ガレスナイトは先ほど紹介した本の中で、絵描きの例を出していました。絵描きは一度描いたらいったん離れてフレッシュな目で再び絵を見て、必要な色を付け足したり、過剰に付いた色を修正したりしますね。この作業がゲブラーということです。

ゲブラーの次のセフィラーは「6.ティファレト」で、ティファレトは「美」を象徴します。

ゲブラーがなぜ「峻厳」かと言えば、生半可な厳しさでは「美」を感じられる何かを創造できないから。

プロフェッショナルの仕事に中途半端さはなく、圧倒的な正義=峻厳があるからこそ、その創造物から美を感じることが出来ます。ちょっとくらい手抜をいてもいいよね、という思いがあったら、それを叩き潰す役割がゲブラーです。

かなり厳しいですけれど、神聖な法則によって形作られた元型を表現するには、それくらいの勇気が必要になってきます。

ちなみに、人間の知性で神聖な法則・宇宙の法則というのは理解できません。人智を超えていますから。

でも、美しいものに神々しさが宿っているのは誰もが分かります。なので、「6.ティファレト:<美>」を通じて神聖な法則があることを人間は知ります。ちょうど「6.ティファレト」から真上を見上げると、神聖な法則によって永続するエネルギーを受け取るポイント「1.ケテル」がありますね。

さて、ではもうちょっとゲブラーのエネルギー状態を掘り下げてみたいと思います。

ゲブラーのエネルギー状態

ゲブラーのエネルギー状態は、「破壊」・「厳しさ」です。

心の迷いを破壊するという意味で「決断」や「自己憐憫・被害妄想からの脱却」、溜まった負の気持ちを破壊するという意味で「不満や鬱憤の解消」などの状態として顕現します。

ゲブラーが破壊できるもの

生命の樹に宿るセフィロート(1つ1つの球)は上から下にだけ作用します。

なので、「5.ゲブラー」の破壊のパワーはさらに低次元な物質次元に近いセフィロトへ影響するのみです。

「1.ケテル」「2.コクマー」「3.ビナー」で作られる元型的なアイディアの世界をご破算にすることはできず、むしろその三つ一番上の三角形で作られるアイディア実現のために過不足ないように破壊していきます。

例1:クッキー作り

型が至高の三角形で作られ、流し込む生地がゲブラーとケセドのバランスで生み出されます。この時に、多すぎる砂糖や塩を取り除くのがゲブラーの仕事です。

例2:体の栄養補給

ご飯を食べて体に栄養を取り込むのはケセドの仕事、反対に不必要なものを取り除くのはゲブラーの仕事です。断食で体に不要なものを浮き上がらせてデトックスするのもゲブラーで行われることです。

破壊と悪は全く違う概念

「破壊」という性質からゲブラーは「悪」と思われがちですが、破壊と悪は同じではありません。ゲブラーは西洋占星術の惑星で火星に対応するのですが、火星が凶星だけれど悪ではないのと似ています。

病人には苦い薬でもって治療が必要です。苦味は嫌なものだけれど、健康に戻るためには必要な時もあるのですね。

また、自分の人生に怠けた雰囲気が蔓延していると、全てのことが漫然と流れていきます。こういう時はゲブラーの「厳しさ」や「規律」でもって空気を締める必要があります。ダラダラしていると時間もあっという間に過ぎていて、それでいて気持ちもぼーっとして気分が晴れません。

怠けきった自分を甘やかし続けるのは4番目のセフィラー「ケセド」の慈悲が行き過ぎた状態であり、健全な日々を貫くためには、ゲブラーの破壊力でもって怠慢を打ち砕く必要があります。

こうした破壊は悪ではなく善なのですね。ちょっと厳しいですけれど。

その他に割り当てられる意味:恐怖

破壊や悪と似通った雰囲気が漂いますが、ゲブラーには恐怖という意味も割り当てられます。

恐怖は真実=隠された知識<11番目のセフィラー:ダース>が欠けることで発生します。原型を現実化させるために不要なものを破壊するのは怖いことだと思います。

自分がどれだけ大切にしているものであっても、それが勘違いかもしれません。大切にしていたモノが、本来の自分らしさを表現するのを邪魔しているとしたら、それを破壊しないといけません。

真実をすっかり忘れていると、本来は感じる必要のない恐怖を感じます。映画のワンシーンに、空中の綱渡りで怖くなった途端に落ちてしまうものがあったりします。

恐怖は焦りと混乱を生み、その状態でアビス<深淵>の綱渡りをしようとすれば、落ちてしまうかもしれません。

日常生活において、パートナーシップ、ビジネス、親子関係、健康面、あらゆる状況に置いて”恐怖”は着いて回ります。

そんなとき、恐怖に陥らず、ゲブラーからアビスを渡って偽りのない自己実現をするために必要なことが、正しい知識を得ること。サロンではアデプトプログラムでその知識を伝えています。

ゲブラーと他のセフィラーとの比較

ゲブラーとケセド

ケセドとゲブラーはアメとムチです。

ケセドのアメは癒しをもたらしますが、過剰になると怠けになります。

ゲブラーのムチは気を引き締めてくれますが、過剰になるとキツすぎてやる気を失ってしまいます。

どちらもさじ加減が重要になります。

振り子のように揺れ動く「優しさ」と「厳しさ」の2つのもののバランスを、ケセドとゲブラーで取ります。

例えば、運気やバイオリズムでの上昇はケセド。下降はゲブラーです。

運気は上がる時は嬉しいですけれど、必ず下がる時があります。

こうしたバイオリズムから自由なのは、第四番目のセフィラー「ケセド」と至高の三角形の間に横たわるアビスという深淵を渡った状態です。

表にまとめるとこうなります。

ケセド ゲブラー
慈悲の柱 峻厳の柱
慈悲 厳しさ
優しさ 勇気
平穏 闘い
形成 破壊
木星 火星
理想 現実

ゲブラーの戦いと、アッシャーの戦いの違い

ゲブラーの特徴に「戦い」と上げましたけれど、これはハイヤーセルフとして生きる事=自己実現のための戦いです。目的をもって戦っている状態です。

しかしアッシャー(暗闇)の世界での戦いは、どちらに向かっていいかも分からずに戦うことになり、目的が分からず闇雲に剣を振り回しているかのような状態です。

どちらに戦いに勝利するにも、DNAアクティベーションや瞑想はとても効果的です。

カバラの4つの世界においては「形成・イェツィラー」の世界に属し、ケセド・ティファレトと共に「倫理的三角形」を形作ります。

ゲブラーと対応する様々な概念

ゲブラーに対応する概念
神の名前 エロヒム・ゲボル
大天使 カマエル
天使の位階 セラフィム
称号 峻厳
惑星 火星
タロット 4つ組の5のカード
ヘブライ語表記 GBVRH(ギボル ベド ヴァウ レシュ ヘー)

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